sandasatoyamacamのブログ

関西学院大学 総合政策 佐山浩ゼミ(研究室)

12月14日 ラスト里山実習


こんにちは。

2019年も残りわずか、、、。今日はクリスマスイブですね😊

なにかと忙しい師走ですが、皆さんはどうお過ごしでしょうか?

 

さて、今回は先日行われた最後の里山実習についてご紹介したいと思います。

最後の実習は、三人の講師の方による講義の形式でした。

 

最初は、兵庫県森林動物研究センターの畑一志さん、兵庫県阪神北県民局阪神農林振興事務所の野村恵美さんが、兵庫県の野生生物による被害状況とその対策方法についてお話してくださいました。

兵庫県におけるシカによる被害状況は凄まじく、シカの個体数管理は必要不可欠なものであることを痛感しました。特に日本海側の地域では、下層植生の衰退が年々進んでいます。その原因となっているのが、増えすぎたシカによる樹皮剥ぎでした。「森林の破壊は人間の活動によるもの」だと思われがちですが、それは昔の話で、今となっては「森林破壊の原因はシカだ!」といえると思います。

兵庫県では、個体数管理や被害管理、生息地管理を積極的に行っているそうですが、これらには多額の費用が掛かります。獣害による森林や人的被害に対して地域住民がもっと関心を持ち、最終的には地域全体で協力し合い、問題に向き合っていくことが必要だと考えさせられました。

 

余談ですが、私の地元対馬には、「陶山訥庵」という対馬藩の農業大臣がいました。今から300年以上前、イノシシによる農作物の被害に悩まされていた農民のために、イノシシの駆逐を藩をあげて実行した”対馬の聖人”です。対馬の北から南までを大垣で仕切り、一区画ずつ追い詰めていく方法で9年もの歳月をかけて約8万頭のイノシシを駆逐しました。この話は対馬ではとても有名で、小学校の授業で習うんですよ(^-^)

訥庵を筆頭に島民全員で取り組んだイノシシ退治でしたが、ここ数十年の間、誰かが持ち込んだイノシシにより繁殖が広がり、昔の状態へと戻ってしまいましたが、、、。

この事例をあげても、やはり地域住民の協力が必要なことはわかりますね。

 

「野生動物の駆除」と聞くと少し胸が痛みますが、私たち人間と自然・野生動物がうまく共生していくためには管理が必要です。感情に左右されず、客観的に踏み込んで考え、行動に移すことが大事だと思いました。

 

 

獣害についての講義が終わると、続いては「暮らしの中の熱帯林~コーヒーはどこで、どうやって作られるのか?~」の題の元、名古屋大学院生命能楽研究家の原田一宏教授による講義です。

原田教授は30年以上、東南アジアや南アジアを訪れ、熱帯林の研究をされている方です。

熱帯林は皆さんご存じの通り、CO2を吸収するため地球温暖化防止になるだけでなく、森林に住む人々の生活の安定に欠かせないものです。しかし、近年は過度な森林伐採や森林火災の影響で、熱帯林の減少が進んでいます。中には、収益が高いことからアブラヤシ農園を開拓するために森林伐採を行うケースもあるそうです。コーヒー栽培もまた、森林破壊の原因となっている一つです。

森林破壊は、コーヒー栽培による社会問題の一つですが、その他の問題点として、”コーヒーの収入に依存せざるを得ない貧しい人々”があげられます。

フェアトレード」という言葉は、最近よく聞きますね。経済的・社会的に持続可能な生産と生活を支える価格を設定することで、生産国の地域開発や生計向上に役立つとされるものです。しかし、フェアトレードコーヒーは、市場に出回っている割合がまだまだ少なく、また、フェアトレードについて十分に理解している農民が少ないことが課題です。フェアトレードマークのついた商品に関心を持ち、積極的に商品を手に取ることが大切だと思いました。

購入しようとする商品が、どのようなルートで自分の手元に届いているのかを知ることが大切だと感じました。

 

約一年、里山実習を通していろいろな視点から「自然環境問題」に触れることで、自分の視野を広げることができました。今現在、地元対馬に帰省中です😊島を歩いていると、里山実習で学んだことが活かせる場面が多くあります。対馬でしか経験できないいろいろなことについて、またここで紹介できたらなと思います。ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

よいお年をお過ごしください。

 

松村優香