sandasatoyamacamのブログ

関西学院大学 総合政策 佐山浩ゼミ(研究室)

進級論文「日本における食品廃棄物の現状と課題」

こんにちは、4期生の矢野未来です。

3期生のみなさん、卒業おめでとうございます!短い間でしたが、先輩方とは実習や飲み会など色んな思い出があり、卒業されるのはとても寂しいです…私ももうすぐ4回生になり、ゼミにも後輩ができるので、一歩成長したいと思います!

さて、私は「日本における食品廃棄物の現状と課題」について進級論文を書かせていただきました。私はスーパーでアルバイトをしているのですが、売れ残りの食品が捨てられているのをよく見かけます。また、大学の食堂でもご飯やおかずを残している人がたくさんいます。そこで、日本では実際にどのくらい廃棄されているのか、どんな対策がとられているのかを知りたいと思い、このテーマに決めました。

本論文の内容は、①大量生産・大量消費の現状、大量に食品廃棄が起こる社会的背景、②生産者から消費者に届くまでの3段階(製造・流通・消費)における食品廃棄物の現状と削減に向けた取り組み、③これらの現状を踏まえた日本における食品廃棄物削減に向けた課題の指摘、の3点です。

 

①大量生産・大量消費の現状、大量廃棄の社会的背景

現在、1人1日あたりどのくらいゴミを排出しているかご存知ですか?実は1人1日約1000g(1kg)ものゴミを排出していると言われています。しかし、この量は2000年以降徐々に減ってきています。この背景には、2000年以降循環型社会形成推進基本法を中心に様々な循環型社会の形成に向けた法律が制定されたことがあります。例えば、廃棄物処理法、家電リサイクル法、容器包装リサイクル法があります。3Rという言葉は今では広く知られていますが、これも2000年以降にできたものです。この取り組みは実は日本発祥であること、みなさん知っていましたか?

さらに食品の大量廃棄の社会的背景としては、食文化の変化や家族構成の変化、女性の社会進出などが考えられます。近年では核家族化が進み、親と子の2世代で暮らす家庭や1人暮らしをする人々が増えているうえ、働きに出る女性が増えているため、食事を外食やファストフード、惣菜などで済ます家庭も増ています。その需要の変化に対応するため、スーパーやコンビニなどは多くの食品を供給しますが、余剰に作られたり期限が切れたりした食品は廃棄されてしまいます。また、食べ物を生産するにあたり、天候不順や温暖化による影響も大きく、台風や日照不足、異常気象などにより収穫できずに廃棄される野菜や穀物も多くなっています。

日本は食品の廃棄大国と言われていますが、食品ロス問題について知っている人は65%、知らない人は35%(2014)というのが現状です。問題の認知度が高いと思う人、低いと思う人、それぞれいると思いますが、私はまだまだ低いと思っています。

 

②製造・流通・消費段階における現状と取り組み

まず、事業系食品廃棄物を詳しく見ると、食品製造業、食品卸売業、食品小売業、外食産業という4段階に分けることができます。このうち最も廃棄量が多いのは食品製造業であり、事業系食品廃棄物全体の8割を占めています。次いで外食産業が1割、残りの1割が食品卸売・小売業となっています。これだけ見ると、製造段階での廃棄を減らせばいいのでは?と思うかと思います。しかし実はこの製造段階の食品廃棄物の95%は再生利用されているのです。他の流通・消費段階での廃棄物の再生利用率は25~60%程度であり、こちらの再生利用率を高めていく必要があります。

家庭から排出される食品廃棄物のうち調理くずが約6割、食べ残しが約4割となっており、食べ残しの約2割が手つかずのものなのです。このうち大幅に賞味期限が切れているものもあれば、期限前に捨てられるものもたくさんあります。人々が捨ててしまいがちな食べ物1位が野菜・果物となっていますが、これは他の商品のように消費期限がなく、自分の目で判断しなければならないからではないでしょうか。

自治体や飲食店では食品廃棄物削減に向けた様々な取組がなされています。特に多いのは食品廃棄物の堆肥化です。また、飲食店の中には食べきれなかった料理の持ち帰りを行っている店もあります。消費者のうち9割が持ち帰りに賛成していますが、衛生面や安全性を考えると普及するのは難しそうです。

 

③日本における食品廃棄物削減に向けた課題

これまでの結果から、食品廃棄物問題は、1.食品廃棄物問題に関する認知度を上げること、2.商品流通の中でのロスを減らし、リサイクルを進めていくこと、3.家庭、飲食店ともに調理くずを減らし、食べ残しをなくしていくこと、の3つが課題になると考えました。

日本で循環型社会の形成に向けて本格的に動き始めたのは2000年頃であり、それからまだ約20年しか経過していません。現在はまだ試行錯誤の最中で法律や政策は依然発達段階ですが、循環型社会に対する人々の認識は広まりつつあり、各メーカー、小売店、各自治体では様々な食品ロス削減に向けた取組が行われています。現在行われている取組の効果が表れるのは数年後であるから、今後日本において食品廃棄物が削減されることが期待できると考えています。

 

卒業論文では、食堂での食品ロス削減に向けた政策を提案したいと思っています。まずは、学生の食品廃棄物問題の認知度を上げ、食品ロスを減らしたいです。

長くなりましたが、私の進級論文の報告は以上になります。

お読みいただき、ありがとうございました!