sandasatoyamacamのブログ

関西学院大学 総合政策 佐山浩ゼミ(研究室)

進級論文について

こんにちは。

佐山ゼミ新4回生の松村優香です。

今回は、私の進級論文「植食性魚類が『磯焼け』に及ぼす影響とその対策によってもたらされる地域活性化への効果」を書くにあたっての過程や想いを、少し紹介したいと思います。

 

皆さんは「磯焼け」問題を知っていますか?

磯焼けとは、沿岸部に広がる藻場が著しく衰退する現象のことです。磯焼けが起こる原因は地域によって様々ですが、中でも私は、地元である長崎県対馬市の事例をもとに研究しました。磯焼けが起こると、ヒジキやワカメなどの海藻が獲れなくなることに加え、藻場で育つはずのサザエやアワビなどの貝類も減少してしまいます。

 

対馬で起こる磯焼けの主な原因は「植食性魚類」です。海藻を食べて暮らす植食性魚類は、対馬では食用の魚ではなかったことが原因で、数が減ることなく、繁殖し続けました。その結果、対馬沿岸の藻場は駆逐され、磯焼けが急激に進んでしまったのです。

私は、対馬磯焼け対策に尽力されている漁協組合の犬束ゆかりさんを訪れ、磯焼けの実態や植食性魚類である「イスズミ」の生態、対策方法と実践例について、お話を伺いました。

 

対馬の藻場は、1990年頃から、大きな台風の通過や温暖化、そしてイスズミによって藻場の破壊が進みました。イスズミが対馬で食べられていない理由は、ずばり「美味しくない」からです。実がとても硬い上に刺激的なにおいがするため、今まで島民が食べる事はほとんどありませんでした。

しかし、磯焼けの現状を打開すべく、犬束さんを筆頭に『そう介プロジェクト』がスタートしました。イスズミを丁寧に調理し、料理として提供することで磯焼けを社会に認知してもらおうというプロジェクトです。私は、実際にそう介プロジェクトの一環として提供されている「そう介定食」をいただきました。

S__201482244

初めて頂いたイスズミのメンチカツは、全く臭みがなくとても美味しかったです。この定食の売上金の一部は、藻場保全活動に使われているそうです。

これはそう介プロジェクトのほんの一部です。こういった活動を通して島民に、そして全国に磯焼けの現状を知ってもらい、関心を得ることが解決の糸口となります。これは磯焼けに限らず、全ての環境問題に共通することです。私は、犬束さんのお話やそう介定食を通して、行動にうつすことの大切さを実感できました。

「「「磯焼け対策⇒藻場の復活・形成⇒サザエやアワビの漁獲量増⇒対馬の漁師増⇒対馬人口増⇒地域が活性化する」」」

磯焼け対策がもたらす地域活性化への効果は絶大なものではないでしょうか。

今後も磯焼けをはじめとした、対馬で起こる様々な環境問題に着目し、研究を進めていきたいと思います。

 

少し暖かくなってきましたね。連日コロナウイルスのニュースでざわついている世の中ですが、お体には十分お気をつけください。

桜の開花を楽しみに、新たな人生を決める大切なこの時期も、元気に活動したいと思います!