sandasatoyamacamのブログ

関西学院大学 総合政策 佐山浩ゼミ(研究室)

今夏の学び~最終章~

みなさん、こんにちは! 3回生の上田です。

遅くなりましたが、私の今夏のフィリピン留学について最終章を書きたいと思います。(1・2章は更新済みです!よろしければそちらも。。♪)

今回の留学はフェアトレード生産者のもとで実際に仕事をすることがメインでした。しかし、最初の1週間に参加したスタディーツアーではフェアトレード以外にもたくさんの企業・団体に訪問する機会がありました。主に5つあります!

①JFC(Japanese Filippino Children【http://www.jca.apc.org/jfcnet/monndai.htm】)の母親の自立支援を行うBatis-Aware、この団体はケータリングサービス・ランドリーショップ・宿泊施設等のビジネスを開拓し、その従業員としてJFCの母親を雇用するという活動を行っています。また、JFCを対象とした教育支援・職業訓練なども行っています。この団体が大切にしていることはJFCの母親がBatis-Awareのスタッフとカウンセリングを行い、同じような体験をした母親同士で交流の場・ネットワークを築き上げることです。スタッフの方からお話を聞いているときは同じ日本人として胸が痛くなる、何か申し訳ない気持ちになりました。というのも、私はこのツアーに参加するまでJFCの問題は知りませんでした。訪問をきっかけにJFC問題をどのように解決していくか、目を向けていこうと思いました。

ストリートチルドレンの保護施設カンルガン、この施設は衣食住に飢える特に貧困な状況にさらされているストリートチルドレンを保護し、施設を彼らの家として提供するという活動を行う団体です。また、町中で暮らす全てのストレートチルドレンが利用できる(寝る場所、食事等の補助)一時的な簡易施設も展開しています。ストリートチルドレンは、家庭の経済的な問題から家から追い出されたり、虐待を受け自ら家を出た子供がほとんどです。施設にいた子供によって理由は異なったと思いますが、これまでにつらい経験もした子もたくさんいたと思います。しかし、カンルガンにいる子供たちは笑顔いっぱいでとびっきり元気でした。元気なことは良いことですが、そのギャップに何かとても悔しくて悲しくなりました。

③ユリの葉を使った雑貨を作り・販売するWater Lily、この団体はユリの葉の繊維を使いバッグ・ポーチ・インテリア雑貨など様々な商品を手作りし、インターネットショッピング・店舗・イベント等で販売しています。この団体はフィリピンで独自の技術を開発し、成功した企業としてどのようなところかという視察で訪問しました。可愛い!かつ日常に使える商品がたくさんあり、私もついつい購入してしまいました。たくさんの雑貨屋さんがあるなかでも、ユリの葉を使いプレミアム感を商品に持たせ差別化する、Water-Lilyの商品開発秘話は興味深かったです。

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④JICAフィリピン支部、マニラにあるJICAのオフィスを訪問しました。日本人スタッフの方が現在のフィリピンの社会状況・フィリピン内で活動する様々なNPO団体の紹介・JICAのプロジェクトを講演していただきました。印象に残っているお話は、台風の多いフィリピンは昨年、台風30号で死者1万人にのぼる甚大な被害に遭ったことです。これを受け、JICAも医療チームの派遣・支援金・物資等の援助に加わりましたが、場所によってはまだまだ復興が進んでいないそうです。この被害もフィリピンのインフラ整備・住居の耐久性が乏しかったために拡大した被害です。しかし、国の資金にも余裕がないため、簡単にインフラ等の工事を行うことが難しいです。

台風30号被害(totallycoolpix.com)

⑤日本人が経営するユニカセ(和食レストラン)、このレストランの従業員は全員、貧困な状況にあった女性です。彼女たちは学校に行くお金がなく、働き口も給与が不安定な場所でした。現在、ユニカセで働きお金を貯めて、学校に通う女性もいるそうです。レストランの雰囲気・バランスが考えられ綺麗に盛り付けられてた料理は日本に来たかのようなおもてなしの魂がつまっていました。

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この他にも、フィリピンで起業した方・ラサール大学の学生との交流の場があったりと非常に充実していました。

この訪問を通じ私が感じたのは、ボランティアは、ただお金をあげるだけでは何のメリットもないということです。働く環境を整え、彼らが自発的にお金を稼ごうとする仕組みを創り、将来に続く支援を行うことが大切であると改めて感じました。フィリピンには路上で寝て過ごす人、ごみ拾いをして生計を成り立てる人が本当にたくさんいます。道端で一家揃って、わずかな食料を分け合って食べている姿も目の当たりにしました。本当にショッキングな光景でした。

フィリピンはファーストフード店で働くだけでもある程度の学力と資格が必要だそうです。小学校は無償で通え95%の進学率に及ぶそうですが、家庭の経済的な問題により、働くために学校を中退する子供たちが非常に多いです。しかし、その働く場と言っても過酷な現場です。物乞い、くず拾い、靴磨き、洗車、スリや麻薬の売春人となって働く子もいるそうです。この働き方は決して安定した生活を送れる手立てとはいえません。彼らは大人になっても生計を成り立てることができず、そのまま子供が生まれ、またその子どもも貧困な状況に陥るといった負の連鎖が起こるのです。

私はこれまでフェアトレード生産者の生活の現状を日本で学び、彼らが苦しい生活を強いられていることを問題視していました。しかし、フェアトレード生産者になることもできない貧しい人がほとんどであると改めて、再確認しました。正直、彼らをこのようにしたら救えるよ!なんていうことを自信を持って言うことはできません。しかし、今回私が訪問した団体などで働く人をもう二度と貧困に陥らないよう、せめて彼らの今働けている現状を守ってあげたいと強く思いました。そのために今の私ができることは、私が目のあたりにしたフィリピンの現状・体験をたくさんの人に話すことだと思います。

今回の留学では大きなカルチャーショックも受けましたが、実際にその現場に行って体感し学ぶことの大切さを初めて感じました。

「百聞は一見にしかず」佐山先生が大切にされているお言葉、この意味がよく分かった気がします。

長々となりましたが、お読みいただきありがとうございました!!

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