こんにちは。
佐山ゼミ新4回生の神原朱里です。
私の進級論文について紹介させていただきます。
進級論文のテーマは「日本の食料問題―フードバンクを通して考察する日本の食品ロス問題と解決策―」です。
食品ロスとはまだ食べられるにもかかわらず捨てられている食品のことです。
私がこのテーマを選んだ理由には、食料の輸入大国日本にて捨てられている食品が多いことについての疑問と、同じ地球にいるにもかかわらず、飢餓に苦しむ人と食品を捨てる人がいることへの問題意識があります。
実際、日本の食品ロスは年間約600万トンで、貧困地域への支援食料約300万トンの約2倍におよびます。
日本で食品ロスが多い理由はいくつかありますが、日常生活に身近なものとして2つあげます。
(1)3分の1ルール
日本の小売業界の暗黙のルールで賞味期限に対し、最初の3分の1を納入期限、次の3分の1を販売期限とするものです。例えば賞味期限が3ヶ月の場合、最初の1ヶ月中に納入しなければ小売店は受け取らず、2ヶ月中に販売できなければ、賞味期限が残り1ヶ月あるにもかかわらず廃棄されます。
(2)行事
節分やクリスマスなどの行事にて、恵方巻きやケーキを販売し、大量に売れ残ったニュースを見たことがあると思います。賞味期限が早いものが多いため、行事日を過ぎれば廃棄されてしまいます。
このようなことの積み重ねで年間約600万トンの食品ロスが発生しています。
進級論文では、フードバンクが食品ロスの解決法となりうるという仮説をたて、調査しました。
フードバンクとは、食品をリユースするシステムです。
多くの場合、企業等からパッケージ破損や3分の1ルールによって、売ることができなくなった商品を受け取り、母子家庭や養護施設などの商品を必要としているところに渡します。
現在、日本のフードバンク全体で約6000トンを取り扱っています。
活動の幅を広げることによって、食品ロス解決につながるという仮説をたてました。
結論から申し上げますと、フードバンクは現状のままでは食品ロス解決までには至らないと考えます。
理由としましては主に2つあります。
(1)社会での浸透性
フードバンクは食品の寄付があって成り立つシステムです。
ここ最近フードバンクという言葉は認知されてきており、フードバンクの数も増えていますが、寄付する企業は増えていません。万が一食中毒などの問題が発生した場合の責任の所在が日本では確立されていないため、リスクを考慮すると、廃棄したほうが良いと考える企業も多いようです。
アメリカではフードバンクに寄付した食品で故意ではない問題が発生した際、寄付した側の責任は問わないという法律があります。
(2)資金
日本の多くのフードバンクが資金難です。
フードバンクの資金は主に公的資金と寄付で成り立っていますが、現状フードバンクの社会での優先度が低いため、公的資金は充分ではなく、日本は寄付文化がないため、寄付に頼ることもできません。
アメリカではフードバンクに寄付をすると、税額控除が受けられます。
このような理由から、フードバンクが今後活動の幅を広げることが難しいため、現状のままだとフードバンクは食品ロス解決に貢献することはできないだろうと結論付けました。 アメリカと比較してみると、日本は政府の食品ロスに対する動きが少ないこともわかりました。
最後に、
みなさんスーパーマーケットで賞味期限がより長いものを求めて、棚の奥の商品をとったりしていませんか?
安売りの際に、いつか使うだろうと多く食品を買ったりしていませんか?
それらの行為が食品ロスに繋がります。
この機会にみなさんの生活を改めて考えていただければ幸いです。
読んでいただきありがとうございました。