sandasatoyamacamのブログ

関西学院大学 総合政策 佐山浩ゼミ(研究室)

進級論文 石川県白山麓地域における地域活性化は可能か―他の地域との比較をもとに―

こんばんは、佐山ゼミ三年の角谷です。進級論文の内容に関して報告します。

今回、夏季に行った白山麓地域での実習をきっかけに、地域の活性化に向けての取り組みを他の地域と比較することで、地域再生や活性化のための地域の望ましいあり方を提案しました。

最初に私は、「地域を活性化する」とは一体どういうことなのか、また、何をもって活性化なのかという疑問を持ちました。活性化を図る指標には、人口をはかる方法や住民の幸福度、または、地域の継続居住年数や地域コミュニティのつながりの程度などをはかる方法があるのではないかと仮定しました。そこで様々な文献を調べることで、活性化とは、地域の住環境が優れ、継続して住み続けたいと思う住民の意思が生まれることであるという結論が出ました。

現に地域活性化のための取り組みとして白山市がどのようなことを行っているかを疑問に思い、調べたところ、市内の小中学生やその保護者を対象に木工作体験を通して森林への関心を高める推進事業や、地元企業や商工会、大学が共同で地熱による観光業を創出する活動が行われていることがわかりました。また、白山市の吉野地区では地酒や土地持ちなどの特産物を販売したり、商工会が猪肉のブランド化を目指す活動を行い、地域の名産物の推進を行っているということがわかりました。

このような政策を実行したとしても、必ずしも地域が活性化するとは限らない原因を分析すると、規模が縮小している地域において高齢化が進み、高齢者が自ら主体的に行動することがますます困難となってきていることがわかりました。地域のにぎわいを取り戻すために数々のイベントを実施したとしても、短期的なイベントにとどまる傾向にあり、継続的な取り組みを続けることが難しいことも現状であります。そのため、他府県からの集客が重要であり、地域の魅力発信が非常に重要な課題であるという結論に至りました。

本論では、地域の望ましい地域のあり方を提案するために、他の地域との取り組みの比較を行いました。たとえば、岡山県では若者世代の中心部流出の問題を抱えていましたが、地域おこし協力隊を要請することで、就農者を増やすとともに、外部から人を集めるきっかけを作ることが可能となりました。そして協力隊の受け入れがきっかけとなり、まちづくりに積極的でなかった人々もまちを良くしていこうという前向きな気持ちを持つようになりました。また、鹿児島県では、インターン就農によって産地復興と定住促進を図っています。このような例から「地元に帰りたい、移住して就農したい」と思う人を増やすために、農家と地域のつながりを大切にし、農家から受けたアドバイスをベースとしながら就農し、転居を推進する取り組みが必要であるということがわかりました。

今年の白山麓実習では、工芸の里の水車小屋復活に携わり、地域の活性化において水車小屋がどのような役割を果たすか考えたときに、人々の関心を惹きつける役割を果していると考えました。住民の意識向上と積極的な地域関与を促すためには、地域の小さな目標を見つける必要があり、一人ひとりが目的を持つことで、住民の積極的な関与をはぐくむことができるという結論に至りました。

進級論文の最後に、住民の地域に対する意識向上と積極的な地域関与を促すための方法を考察しました。地域の特産物を販売する時に、フリーペーパーとインターネットを連動させて活用することを考えました。地域に特化したフリーペーパーや、フリーペーパーサイトによって読者ターゲットを細かく絞り、全国の情報を展開している情報サイトより詳しい情報やお得な情報、特典やプレゼントなどが入手できるようにすることで、人々の注目を集めることが可能になると考えに至りました。

この進級論文を書く上で、今後、白山麓地域がジオパークである魅力を発信し、さらにジオパークや自然の豊かさを活かした取り組みを実施することで、市民の共感づくりをより強固なものにする必要があると考えました。