sandasatoyamacamのブログ

関西学院大学 総合政策 佐山浩ゼミ(研究室)

進級論文『台湾の大学生における環境配慮行動の規定要因』

みなさんこんにちは。三回生の栗本です。

いつも台湾留学レポートを更新している者ですが、今回は1月に提出した進級論文の内容について書きます。

 

論文タイトル『台湾の大学生における環境配慮行動の規定要因』

【研究のきっかけ】

本研究は、同研究室4回生の櫻井晴菜さんが昨年執筆した『日本と台湾の大学生における地球温暖化に対する意識と行動に関する研究 -アンケート調査の結果を基にした重回帰分析を通して-』を下地としています。櫻井さんの研究では日本と台湾の学生を比較していますが、私は台北市内の2つの大学を比較することで櫻井さんの研究をさらに発展させることができると考えました。

 

【研究の目的と方法】

大学生の環境意識や環境配慮行動の規定要因(学歴や、どのような環境関連の授業が彼らの環境意識や環境配慮行動に影響を与えるのか)を明らかにすることで、学校教育における環境教育の「教師の教材の研究不足」や「教師が生徒の関心を喚起できていないこと」などといった問題の解決の一助になることをねらいとしています。

研究方法は、台湾の2つの大学(国立台湾師範大学・国立台湾大学)の学生に、地球温暖化に対する意識と行動に関するアンケート調査を行い、重回帰分析を用いて分析しました。

 

【仮説】

仮説A:高学歴の学生の方が環境配慮行動を多く行う

仮説B:大学の環境関連の授業を履修している学生は、履修していない学生に比べて環境配慮行動を多く行う

 

【分析・考察結果】

簡単にまとめると、

仮説A→立証されなかった

仮説B→立証された

という結果になりました。

 

そして最終的な結論として今後の環境教育現場への提言をまとめて、本研究の成果としました。

 まず、大学生の環境配慮行動の実施頻度に高学歴であるかというのは関係せず、節約意識や思想の方がより大きな影響を与えることがわかりました。ただし、節約意識が環境配慮行動の実施や実施頻度に影響を与えるのは、比較的所得が低い学生においてであり、普段から生活のために節約をしている場合に限ると考えられます。そのため、比較的所得が低い学生に対してや、先進国より所得の低い発展途上国の学生に対して環境教育を行う場合には、「お金を合理的に使うためにこういった環境配慮行動をしよう」といったようなアプローチの仕方が有効であると考えます。

また、自然環境主義も近代技術主義も環境配慮行動の実施には正の影響を与えそれらの思想を養うためには、環境関連の授業が有効であると考えられます。また、環境問題に対して当事者意識を持ち、環境問題を自発的に考え、また日常生活の行動と結びつけて考えさせるような授業は、環境配慮行動の実施を促すと結論付けました。

 

以上です。