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関西学院大学 総合政策 佐山浩ゼミ(研究室)

進級論文について

佐山ゼミ新4回生の内山慶人です。 私の進級論文のテーマは「絶滅危惧種保全」です。

私たちの暮らしは生物多様性を基盤とする生態系から得られる恵み、「生態系サービス」によって支えられていますが、現在地球、国家間、地域レベルといった幅広く様々な環境問題が起こっており、多くの生物が絶滅の危機に追いやられています。ミレニアム生態系によると、驚くべきことに過去100年間で種の絶滅速度が1000倍以上に上がったとされています。これは、18 世紀後半に始まった産業革命以降の産業の発展とそれに伴う人間活動の変化が原因で、我々人間が化石燃料を大量に消費しながら、大量生産・大量消費型の社会経済システムを形成してきた結果です。

本研究では、生物を絶滅に追いやる環境問題の中で、身近な「海洋プラスチックごみ問題」と「外来種問題」の現状と国内の対策、そして希少野生動植物種を保全するための措置を定める「種の保存法」の現状と問題点を調査しました。この調査によって得られたデータをもとに、絶滅危惧種を減らしてゆく社会を構築するために、日本の行政や企業が行うべき取り組みを提案しました。その結果、我が国では様々な対策が取られているものの、不十分な点が多く絶滅危惧種を減少させる社会は未だ構築されていないことが明らかになりました。

例えば、種の保存法は、国内外の絶滅のおそれのある野生生物の種を保存するために施行され、希少野生動植物種、つまり「国内希少野生動植物種」と「国際希少野生動植物種」を保全するために必要な措置を定めています。しかし、第3条より財産権、54条より公共事業が優先されていることや、指定種が356種とレッドリストに掲載されている絶滅危惧種の10%以下に過ぎないこと、人間に与える影響が大きいことから、生息地保護区の設定は僅か9か所にとどまっており、単に捕獲等を規制するものでしかないことなど、多くの問題があることが分かりました。

そのため、私は上述した問題を改善し、種だけでなく保護区の提案制度も導入すべきであると考えました。また、現代の民主主義社会において、マスメディアは大きな影響力を持っているため、その力を利用し法律の問題点を取り上げることによって、法改正に繋げるという提案をしました。

(海洋プラスチックごみ問題と外来種問題については省略させていただきます。)

今後は調査した現状、問題点、そして新たなアプローチ策をもとに、特定の絶滅危惧種を対象とした保全策を提案していきたいと考えています。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

内山慶人